2022年1月26日水曜日

小学3年生から塾に通わせる必要はあるのでしょうか?中学受験をするかがポイント


小学3年生になると、周りに塾に通い始める生徒が増えてきます。

そのような状況に流されて、すぐに子どもを通塾させる親御さんがいらっしゃいますが、その前に本当に3年生から塾に通わせる必要があるのか考えておくことが大切です。

塾の必要性について、中学受験をするかしないかの場合にわけて説明いたします。

小3の壁とは?中学受験とは関係なく、小学3年生から勉強のフォローが必要


小学3年生から塾に通わせる必要があるかはともかく、家庭で勉強をみたりといった何らかのフォローは必要です。

なぜなら、小学3年生になると学習内容の難易度がぐっとあがるからです。

国語では、3年生から一年間に習う漢字の量が一気に増えます。文章問題でも、抽象的な表現が増えてきて、これまで以上の語彙力がなければ読解できません。

算数では、分数や割り算といった2年生までに習った九九をしっかりと覚えて応用しなければならない問題が増えてきます。

繰り上がりや繰り下がりの計算も増え、さらに空間把握能力が問われる図形問題も3年生から多く出題されます。

それから、理科と社会が始まるのも3年生です。

このような学習内容の急激な増加、難化によって、たくさんの子どもが勉強につまづいてしまいます。

これを「小3の壁」、「9歳の壁」といいます。

子どもにこの壁を乗り越えさせるために、何らかの勉強のフォローが必要でしょう。

小3の壁を甘く見ないこと。子どもの将来の勉強への姿勢を見据えることは中学受験とは無関係


保護者の中には小3の壁を重要視されていない方もいらっしゃいます。

自分自身が勉強が得意で小3の壁を感じなかったり、勉強は小3だけ難しくなるのではなく、この先どんどん難しくなっていくものだという認識があるからだろうと思います。

しかし、小3の壁を甘くみてはいけません。低学年で勉強に関する挫折を味わうと、子どもの将来の勉強姿勢に大きく影響します。

勉強人生は高校卒業するまで約10年間続きます。大学に行けば追加で4年。

社会に出たら座学は減るかもしれませんが、上司や同僚からいろいろなことを学び取って成長していかなければなりません。

小学3年生で勉強嫌いになり、『自分は勉強は苦手だ、自分は頭が悪い』といった自己否定の認識をこの先10年以上持ち続けるのは子どもにとって不幸でしかありません。

それよりも、小3の壁という存在が予めわかっているのであれば、その克服のためにフォローをしてあげて、子どもに『自分はやればできるんだ。努力すれば壁は乗り越えられるんだ』という自己肯定感をもたせてあげましょう。

自己肯定感とは、自分の存在意義・存在価値を認める感情のことをいいます。

自分自身を肯定して、前向きに自分を評価して、積極的に自分を認めるということです。

勉強に関する自己肯定感が高いと、学校の授業や塾の授業にも積極的になり、自分で本を読んだりと、自学自習できるようになります。

中学、高校、大学、そして社会人になっても自学自習して成長していける子どもにしたいものです。

中学受験をさせない場合でも、小3の壁を乗り越えさせてあげたい


まずは2年生の基礎学力を定着させておきたいです。

算数では、九九を完璧に覚えていることが大切です。

完璧に覚えているということは、どの段からでも、すばやく答えを出せるということです。

3年生で習う掛け算の筆算や割り算、分数が出てくる度に九九を間違ったり、答えが出るのに時間がかかっていたりしていては、授業についていけません。

漢字も2年生までに習った漢字を覚えるのはもちろん、漢字を覚えるために毎日勉強するという習慣を身に着けさせておきたいところです。

また、机に座って勉強することだけが勉強ではありません。

新しくはじまる理科や社会を理解するためには、遊びや生活のなかでたくさんの自然や様々なニュースに触れておくことも大切です。

中学受験をさせるつもりはないとしても、子どもにいろいろな経験をさせてたくさんのことを学ぶサポートをしてあげてください。

中学受験をさせる場合、小学3年生からやっておきたいこと


中学校は公立ではなく、私立に進学させたいと考えている場合は、中学受験の内容が特殊で、ハイレベルな試験内容になっているため、現状は通塾が必須といえます。

そのため中学受験を考えている場合は、まずは塾の中学受験カリキュラムのスケジュールを知っておくことが大切です。

一般的な中学受験専門塾では、3年生の2月から『新4年生』として中学受験カリキュラムが組まれています。

この『新4年生』のカリキュラムを好スタートさせるために、3年生の夏ごろからいくつかの塾の説明会に参加し、秋から冬ごろに検討段階の塾の体験授業に参加するのがいいでしょう。

3年生
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月

塾説明会への参加

体験授業への参加

新4年生スタート

新4年生のカリキュラムは、通常1日3時間の通塾を週2日です。

しかも通いっぱなしではなく宿題もあります。勉強に慣れていない子ほど、前々から少しずつ机に向かわせて勉強をさせるといった助走をつけておく方がいいです。

低学年ほど少しずつ勉強に慣れさせるといったフォローをしておかないと、勉強嫌いになって中学受験カリキュラムについていけなくなります。

子どもに負担なく勉強を習慣づけさせるために、子どもの性格にあった塾選びが大切になります。

塾説明会や体験授業への参加の機会を十分に活用してください。

小学3年生から通塾を考えるときは、まずはいろいろな塾に足を運んでみることが大切。中学受験をする場合は特に!


小学3年生になると学習内容が一段と難化するため、子どもの勉強に対して何らかのフォローが必要だということを説明しました。

本来学びというものは『わからなかったものがわかるようになり、見る世界が広くなる』楽しいものです。

子どもにもそんな楽しみを味わいながら成長していってほしいので、『小3の壁』なんかにつまずかせないようにしたいものです。

読者の皆様はぜひ、『小学2年生までの基礎学力の定着』を念頭に子どものフォローをなさってください。

そして中学受験を考慮しているのであれば、小学3年生の2月から中学受験カリキュラムがスタートしますので、早めに塾の情報収集をしてください。

小学3年生の正規の中学受験カリキュラムはないからこそ、塾の指導方針が色濃くでる


いろいろタイプの塾があります。その中から子どもの性格や習熟度にぴったりあった塾をみつけることが中学受験成功の第一歩です。

前述のとおり、小学3年生の2月から『新4年生』の中学受験のカリキュラムが始まるので、それ以前の小学3年生向けの正規の中学受験カリキュラムはありません。

つまり、小学3年生向けのカリキュラムは比較的自由度が高く、塾の指導方針によってさまざまな指導スタイルがあります。

大きな教室でグループ授業をする塾、机一つで個別指導をする塾。

先取り指導をする塾、詰め込み型の指導をする塾。

どの指導スタイルが正解かはわかりません。

ただ、子どもにあった指導スタイルを選ぶことが大切です。

まずは、いろいろな塾に足を運んでみてください。

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偏差値ってなに?中学受験する4年生で偏差値40でも問題ない理由とは?

偏差値40!?私はこんな低い偏差値とったことはない・・・中学受験生の親の誤解とは?


中学受験のご経験がない保護者に多いのですが、子どもの中学受験の模試の結果などをみてびっくりされる保護者の方は非常に多いです。

子どもの偏差値40程度の成績を見た時、この子の将来が不安になって急にめまいがしたという保護者もいらっしゃいました。

中には、「もう中学受験はあきらめ、高校受験をがんばります」と相談にいらっしゃる方もいます。

しかし、中学受験の偏差値は、偏差値を正しく理解して、その偏差値の母集団がどのような母集団なのかを理解していないと、子どもの進路選択を間違ってしまう恐れがあります。

偏差値とは何か?中学受験をしなくても知っておきたいこと


偏差値とは、テストを受けた人の中で、平均点をとった子どもを偏差値50と設定し、点数のばらつき具合を考慮して、平均の50から相対的にどのくらい差があるかを示した値です。

100人がテストを受けた時、その点数のばらつきが十分にあり、その分布が、統計で一般的な正規分布に従うと仮定すると、以下のような図であらわされます。



偏差値は、テストを受けた人(母集団)の中で算出されるもので、母集団の中でどのくらいの位置にいるかを知るのに便利な指標です。一方、母集団によって偏差値の意味が大きく左右されるという特徴があります。

例えば、東大生100人を集めて学力テストを受けさせたとします。
順位が84位くらいであれば偏差値は40という事になり、“東大生の中で”相対的に学力が低いと言えます。これが母集団に左右されるという事です。


中学受験で偏差値40、小学生全体ではどのくらい?


それでは、中学受験の偏差値についても中学受験をする生徒の特徴を把握しましょう。

文部科学省の「学校基本調査」のデータによると、2018年度の小学6年生は全国でおよそ100万人強です。この中のおよそ10%弱が中学受験をします。


中学受験、高校受験、大学受験の偏差値のイメージを単純化してみましょう。

中学受験をする小学生の偏差値のイメージ


まずは中学受験から見ていきましょう。

上述のように全国の小学生100万人の中で10万人くらいが中学受験をします。




仮に全国の小学生が同じ学力テストを受けると仮定します。また受験勉強をしている集団の方が学力は上に偏るとします。
そうすると、全小学生の中で偏差値60だとしても、母集団が中学受験生の場合では30という事も十分あり得るわけです。

高校受験をする公立中学生の偏差値のイメージ


では、高校受験をする生徒の偏差値はどうでしょうか。

一部の私立・国立中学生を除く公立中学では、ほとんどの生徒が高校受験をしています。




そうすると母集団である公立の中学3年生の偏差値と、高校受験する中学生の偏差値は同じような数字になるだろうと考えられます。

大学受験をする高校生の偏差値のイメージ


最後に、大学受験の偏差値も見てみましょう。

4年制大学の進学率は、概ね56%くらいです。以外に低いと感じる人も多いかもしれません。




大学受験についても、高校3年生の成績上位の生徒が受験すると仮定すると、上記のような図になります。中学受験ほど低い受験率ではありませんが、高校受験ほど高い受験率ではありません。

中学受験の偏差値は母集団、つまりテストによっても違う


ここまでは、わかりやすくするために「中学受験で偏差値40」などのように書きましたがこれは実は正しい表現ではありません。なぜなら中学受験生全員が受けるテストは無いからです。

四谷大塚のテストなのかSAPIXのテストなのか日能研のテストなのかによっても当然母集団は異なります。SAPIXで偏差値40ということと、栄光ゼミナールで偏差値40とでは同じ数字でも意味が違ってきますので注意が必要です。


例えばSAPIXの中学受験模試で偏差値40、どんな進路を想像しますか?


一例ですが・・
SAPIXの2018年度入試用の偏差値表では、高輪中学が38と出ています。
2017年の高輪中学の現役大学合格実績はと言うと、東大3、慶應18、早稲田27(卒業生204名)などです。

都立高校で言うと、小山台高校の実績が、東大1、慶應17、早稲田28、卒業生314です。都立高校の中では、日比谷や西に準ずる難関校です。

SAPIXでの偏差値38は、大学受験では私立トップ大学を目指せる可能性があると言えます。

確認テストで偏差値40であることの意味とは?


ここまで、偏差値は母集団によって決まることをお伝えしました。もう一つ理解しておきたいことがあります。それは、確認テストでの偏差値40と実力テストでの偏差値40でも大きく意味が異なるという事です。詳しくは下記の記事をご覧ください。

参照 塾の確認テストを目標に勉強しても中学受験で合格できない理由とは?


偏差値を正しく理解して、中学校選びや中学受験のための勉強計画を立てましょう


このようにテストによって、偏差値が意味する内容が全くことなることを紹介しました。

結果が悪かったとしても、あわてて判断せずに、中学受験の専門家である塾の先生などに確認をとって学校選びや勉強計画に活かしていきましょう。

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